第6回アニソン縛り紅白歌合戦 鑑賞の手引き
この企画も5年目を迎えることになりました。この企画を抱えているために、私はアニソン・特ソンの全体状況に目を配らざるを得ず、情報収集をせざるを得ず、はっと気がつくと池澤春菜さんちの掲示板設定にあれこれアドバイスをしたり、島津冴子さんの公式ファンクラブに入ったりしている今日この頃です。
「いまや誰でもアニソン歌手」な傾向はますます強まり、今回の編成に当たってはエンターテイメント性を重視して、やや本格派歌手が歌いたがらない歌も大幅に取り入れてみました。
まったくとんでもない世の中になってきたものです。次々にタテマエやウソがバレていく様は、今まで見えなかったものが可視化しているわけで、何かしらカタルシスも覚えます。
日本という国のニセモノぶりが次々に明らかになる中、その中に残ったホンモノは済ます大事になってきています。そのホンモノの中に自分や自分の属する組織が入れるかどうか。そんなことを考えつつ、ヒーローやヒロインにしばし思いを馳せてみました。
偶数回なので、白組先攻、紅組大トリです。
ウルトラ警備隊の歌〜MATチームの歌〜 タックのうた
(ウルトラセブン) (帰ってきたウルトラマン) (ウルトラマンA)
嵐
MELODY〜 花右京メイド隊の歌〜イツマデモ・ドコマデモ
(シスタープリンセス)(花右京メイド隊) (ラブひな)
モーニング娘。
今年は、ウルトラシリーズの各種防衛隊の歌メドレーで開幕。3曲の中でタックのうたが最も新しいのですが、「ウルトラマンA」放映当時、嵐のメンバーはだれひとり生まれていません。
最近は大きいお友達向けの深夜アニメというジャンルが成立しつつあります。アニメとゲームをタイアップさせ、AV商品やグッズの売上で採算を取ろうというのですが、同じところを多くの制作集団が掘っている現状には危惧も感じます。そうしたタイトルから、登場キャラクターが集団で歌う歌を並べてみました。
ちなみに「花右京メイド隊の歌」はカラオケで覚えましたが、女性が歌っているのはいちども聞いたことがありません。
Odyssey
(ロードス島戦記)
V6
いつまでもここにいます
(ああっ女神さまっ イメージアルバム版)
菊池桃子
OVA「ロードス島戦記」の挿入歌「Odyssey」は、騎士物語にふさわしい、ゆったりと勇壮な歌。「ああっ女神さまっ」にはOVAの前に作られたCDイメージアルバムがありました。日高ベルダンディは井上ベルダンディに比べると明るく元気で、スクルドが未登場だったこともあり、お姉ちゃんというより末娘のイメージです。
育児のためお仕事セーブ中の菊池桃子さん。手作りのティッシュカバーをオンラインで販売中。
ポケッターリ・モンスターリ
(ポケットモンスター)
タケカワユキヒデ
I wish
(デジモンアドベンチャー)
ZARD
佳曲の多いポケットモンスターですが、「ポケッターリ・モンスターリ」に合わせたエンディングアニメが素晴らしい出来です。明るくオーバーアクション気味な歌い方がふさわしいと思います。
デジモンシリーズは今年の春まで、オープニングは和田光司さん、エンディングはAiMさんでした。「I wish」はシリーズ最初のエンディングで、劇中でもAiMさんのキャラクターが歌いました。デジモンシリーズではそれぞれの少年少女が家庭の悩みや成長期の悩みを抱えていて、それをどうにかこうにか乗り越えつつ、世界のいろいろな生きものと友情を結び、その相手のために戦います。そんじょそこらの美少女アニメより、はるかにドラマ性は高いと思います。
ちなみにAiMさんは声優の前田愛さん。たぶんガメラを許さない別の人と紛らわしいので、音楽活動にはAiMの名前を使うことにしたのでしょう。
行け!コン・バトラーV
(超電磁ロボ コン・バトラーV)
Kinki Kids
電光超特急ヒカリアン
(電光超特急ヒカリアン)
DREAMS COME TRUE
そうです。正義と友情と身長と体重を高らかに歌い上げるあの歌です。
「電光超特急ヒカリアン」(2002年)は「超特急ヒカリアン」(1997年)のリメイク版、といってもスタッフ・キャストは一新されています。堀江美都子さんの元気な新曲です。
勇気りんりん
(それいけ!アンパンマン)
速水けんたろう
ドリルでルンルン クルルンルン
(D4 プリンセス)
深田恭子
一見すると、リンリンとルンルンのダジャレにしか意味のない組み合わせのように見えますが、実はその通りです。「ドリルでルンルン クルルンルン」も、女性が歌っているのは聞いたことがない1曲。
タリラリラーンロックンロール
(平成天才バカボン)
こぶ茶バンド
海のトリトン
(海のトリトン)
茂森あゆみ
嘉門達夫さんの「タリラリラーンロックンロール」は、もう一歩崩したら曲にならないだろう、というぎりぎりの1曲。
「海のトリトン」は放映後数回で「Go!Go!トリトン」とOP・EDを交代した、伝説の1曲。このアニメの深刻な展開を知っている我々は、こののどかな曲を聴いてもただ笑うだけですが、おそらく作詞者・作曲者に制作意図がうまく伝わっていなかったのでしょう。茂森あゆみさんは2002年にご結婚なさいました。
オタスケマンの歌
(タイムパトロール隊オタスケマン)
郷ひろみ
思いたったが吉日!
(有言実行三姉妹シュシュトリアン)
井上喜久子・冬馬由美・久川綾
作詞者自ら「十年に一度のフレーズ」と言う名調子で始まる「オタスケマンの歌」。郷ひろみさんの高い調子は、案外山本メロディーに合うように思います。
シュシュトリアンはカルト的な人気を誇る実写ドラマ。歌うのは、OVA/劇場版「ああっ女神さまっ」で女神三姉妹を演じた声優さんたち。いや、この1曲だけで十分にイベントとして成立するでしょう。
Dream City Neo Tokio
(未来警察ウラシマン)
チャーリー・コーセィ
愛はブーメラン
(うる星やつら2 ビューティフルドリーマー)
大黒摩季
チャーリー・コーセィというアーチスト名は、スタッフの手違いなのだそうです。もっとも、このころ名のあるアーチストがアニソンを歌うとき変名を使うことは珍しくなく、ご本人も「荒野の少年イサム」では別のアーチスト名をお使いです。ロックバンド「ザ・ヘルプフル・ソウル」のCharlieさんが、2002年になって久しぶりに、ルパン三世のニューアレンジや新曲を収めたアルバムをお出しになりました。円熟するとはこういうことか、と感じ入る1枚です。
詳しい友人に聞くと、「ビューティフル・ドリーマーだけ権利関係が違うから、出すのがなかなか大変だったようで」という、「うる星やつら2 ビューティフルドリーマー」のDVD。やっと2002年に発売されたのを記念して、この1曲。
Let's GO いいことあるさ
(ポンキッキーズ)
JAM Project
ロックリバーへ
(あらいぐまラスカル)
岩崎宏美
「Let's GO いいことあるさ」は「ポンキッキーズ」の初期からよく使われている、励ましの歌です。水木一郎さんを初めとする熱血系アニソン・特ソン系ユニット、JAM Projectにはふさわしい歌でしょう。
ただし、この曲の原曲はビレッジ・ピープルの「Go West」です。このユニットのヒット曲である「YMCA」や「In the NAVY」と同じように、日本ではまったく違った底抜けに明るい歌詞があてがわれていますが、もともとはホモセクシュアル礼賛の歌で、同性愛への社会的規制が緩い西海岸へ行こうよ、という内容です。ビレッジ・ピープルの歌と知らずに日本人がホームステイ先で歌って困惑される、などということもあるそうです。
今でもキャラクター商品が売れる「あらいぐまラスカル」の主題歌も、負けず劣らず明るい歌です。
恐竜戦隊ジュウレンジャー
(恐竜戦隊ジュウレンジャー)
尾崎紀世彦
御旗のもとに
(サクラ大戦3)
OSK日本歌劇団
横山智佐さんの「私の愛したゲームキャラ」に載っていた話だと記憶していますが、広井王子さんはサクラ大戦のコンセプトを「青い山脈の戦隊物」と表現されたことがあるそうです。そこで、こんな対決を組んでみました。
尾崎紀世彦さんは「宇宙刑事シャリバン」の挿入歌や「空想科学世界ガリバーボーイ」のオープニングを歌われたこともあります。
OSK日本歌劇団は、惜しくも解散が決定しました。さよなら公演は2003年の予定とか。
妖怪にご用心
(ドロロンえん魔くん)
吉幾三
夜の歌
(カードキャプターさくら)
松任谷由美
「妖怪にご用心」は中山千夏さんの名演が光る曲。「ゲゲゲの鬼太郎」のリメイク版主題歌を歌ったことがある吉幾三さんに。
「夜の歌」は劇中でキャラクターが歌った歌。私にとっては思い出深い曲です。やっと順番が回ってきました。
男はつらいよ
(男はつらいよ)
細川たかし
ありがとう
(ありがとう)
和田アキ子
今回の中押しは、山本直純さんを追悼して、国民的ドラマ特集としました。
「男はつらいよ」については説明の必要もありますまい。「ありがとう」は山岡久乃さん、水前寺清子さんの母娘を中心とする、70年代を代表するホームドラマでした。視聴率56.3%は民放ドラマ史上の金字塔。主題歌はもちろん水前寺清子さん。
にんげんっていいな
(まんが日本昔ばなし)
氷川きよし
ミスター・アンデルセン
(アンデルセン物語)
岩男潤子
中押し後の1曲目は童話対決。「にんげんっていいな」は何種類かあるエンディングのひとつ。岩男潤子さんはデビュー前に童謡歌手として仕事をした時期もあるのですが、最近はコンサートによく童謡が登場します。
ダンバインとぶ
(聖戦士ダンバイン)
西条秀樹
わたしのつばさ
(おジャ魔女どれみどっか〜ん)
ANGEL
空飛ぶ対決。最近のアニメ曲は難しくなるばかりで、心和む佳曲が少ないのですが、「わたしのつばさ」は久々に現れた佳曲。ANGELとLittle Seraphと丹下桜さんの合唱を一度聞いてみたいものです。
ロボタンの歌
(ロボタン)
山寺宏一
ワイワイワールド
(Dr.スランプアラレちゃん)
田中真弓
ロボット対決(笑)です。田中真弓さんの迫力あふれるアラレちゃんに期待。ああ、もちろんロボタンのスポンサー名連呼は、歌詞の一部ですから当然です。
STINGRAY〜STOP THAT PIGEON
(海底大戦争) (スカイキッドブラック魔王)
グッチ裕三
マイティジャックの歌〜君をのせて
(マイティジャック) (天空の城ラピュタ)
サーカス
海と空、海外と国産というややこしい構造の対決です。「スカイキッドブラック魔王」には、ミファファ#ソ、ミファファ#ソというBGMが繰り返し登場しますが、あれはじつは「STOP THAT PIGEON」と繰り返す英語版オープニングのメロディーなのです。
ははうえさま
(一休さん)
山本譲二
Be My Angel
(機動天使エンジェリックレイヤー)
安室奈美恵
新旧の「母上に会いたい」対決。エンジェリックレイヤーは売れ線要素をそろえた作品でしたが、それだけに「一度はこれで泣いた」既視感の壁を破れなかった印象があります。
アステロイド・ブルース
(銀河烈風バクシンガー)
サザンオールスターズ
PLANET DANCE
(マクロス7)
葛城ユキ
聞いてみたいアニソンが目白押しのサザンオールスターズ。今回はまったく違和感のないブルース。「PLANET DANCE」と葛城ユキさんもまったく違和感なし。
船出の歌
(天下御免)
ささきいさお
アテンションプリーズ
(アテンションプリーズ)
堀江美都子
NHKがテープを消してしまった名作ドラマは無数にありますが、「天下御免」もそのひとつ。現代風刺を含む、史実を踏まえて史実から翔んだハチャハチャ時代劇でした。「アテンションプリーズ」はスチュワーデスドラマの先駆け。
スターダストボーイズ
(宇宙船サジタリウス)
SMAP
THE REAL FOLK BLUES
(COWBOY BEBOP)
globe
宇宙船の怪しい奴ら対決。「宇宙船サジタリウス」はエンディング「夢光年」の評判がよいのですが、聞く機会がありません。
この星に生まれて
(生きもの地球紀行)
東京混声合唱団
70年代われらの世界
(70年代われらの世界)
宝塚歌劇団宙組
「生きもの地球紀行」はNHKの自然番組で、現在は「地球・ふしぎ大自然」にバトンタッチしています。「70年代われらの世界」は富田勲さんの名作で、本来は子供の合唱が入ります。フルバージョンがCD化されていますが、放映当時は使われなかったかもしれません。
仮面ライダークウガ!
(仮面ライダークウガ)
アリス
すみれチャチャチャ
(サクラ大戦 第四期CDドラマシリーズ)
黒木瞳
平成仮面ライダーのトップを切った「仮面ライダークウガ」。力強い歌です。
帝国華撃団花組・神崎すみれは、2002年1月の新春歌謡ショウをもって、花組を引退しました。この作品は毎年夏冬に声優さんが舞台劇公演を行っており、そこから声優さんが降板することイコール、そのキャラクターの舞台引退なのです。黒木瞳さんも娘さんをお留守番させて、大車輪のご活躍中。2002年夏には「それいけ! アンパンマン ロールとローラ うきぐ城のひみつ」でローラ姫を演じました。
時代が泣いている
(機動戦士ZZガンダム)
松崎しげる
ヘミソフィア
(ラーゼフォン)
宇多田ヒカル
寒い時代になりました。我々に何ができるだろう。そんなことを考える歌対決です。
これももう、新旧対決というべきでしょうか。我々の世代だと、Z以降のガンダムは
認めないとか、そんなことも言っていたのですが。
今がその時だ
(真(チェンジ!!)ゲッターロボ 世界最後の日)
北島三郎
I am...
(犬夜叉)
天童よしみ
北島三郎さんは第一回大トリの「宇宙戦艦ヤマト」の印象が強すぎるのですが、「今がその時だ」も妙に合うなあと選んでから思いました。
天道よしみさんが「残酷な天使のテーゼ」を(元とは全然違う歌になるのだけれど)見事に歌って見せた話は数年前に書いたと思いますが、パンチの効いた「I am...」なら、やはり元とは全然違う、それでいて素敵な歌にしてくださることでしょう。
ウルトラマンコスモス〜君にできるなにか
(ウルトラマンコスモス)
槙原敬之
いつも何度でも
(千と千尋の神隠し)
安田祥子・由紀さおり
今回のトリのテーマは「人生やり直し」です。
人が人の弱点を刺すことが、ちょっと簡単になりすぎたかもしれません。